傷害罪で無罪主張
Aさんは、深夜に千葉県富津市内を歩いていたところ、突然正面を歩いてきたVさんに「てめえ俺のこと睨んだだろ」などと因縁をつけられました。
AさんとVさんは言い争いになり、やがてVさんが近くに落ちていた傘を拾ってAさんに暴行を加えようとしてきました。
身の危険を感じたAさんは、手に持っていた鞄の角でVさんの腹部を殴り、なお暴行を加えようと体勢を立て直していたVさんを蹴り飛ばしました。
これによりVさんは全治1か月程度の怪我を負い、富津警察署の捜査によりAさんは傷害罪の疑いを持たれました。
Aさんはすぐに弁護士に相談し、正当防衛として無罪を主張できないか聞いてみました。
(フィクションです。)
【傷害罪について】
傷害罪は、その名のとおり人の身体を傷害した場合に成立する可能性のある罪です。
ここで言う「傷害」には、殴る蹴るといった暴行による外傷にとどまらず、人の生理的機能の侵害一般が含まれるとされています。
たとえば、薬物により腹痛を起こさせる、ストレスを加えて睡眠障害にするといった行為も、場合によっては傷害罪に当たる可能性があります。
傷害罪には隣接する犯罪がいくつかあり、具体的な事件の内容によりいずれの罪が成立するかが異なってきます。
たとえば、人に対して暴行を加えたものの傷害には至らなかった場合、暴行罪が成立するにとどまります。
逆に、暴行により人を死亡させた場合、殺意がなかったのであれば傷害致死罪、殺意があったのであれば殺人罪が成立する可能性が出てきます。
また、傷害が強盗や強姦(強制性交等)の際に生じたのであれば、強盗致傷罪や強制性交等致傷罪が成立する余地が生じます。
もし傷害罪より重い罪が疑われているのであれば、傷害罪が成立するにとどまると主張する弁護活動が重要になるでしょう。
傷害罪の法定刑は、15年以下の懲役または50万円以下の罰金となっています。
これは数ある犯罪の中でも法定刑の範囲が幅広い部類に属し、個々の事案により量刑がかなり変わりうることを示しています。
多少の打撲傷や切り傷であれば少額の罰金刑が予想される一方、後遺症が残るようなものは実刑の可能性も否定できないところです。
【無罪主張をするには】
上記事例のAさんは、傘で暴行を加えようとするVさんに対して暴行を加え、傷害を負わせています。
この場合、形式的には傷害罪に当たる行為ではあるものの、正当防衛として無罪になると主張する余地があります。
正当防衛は、①急迫不正の侵害に対し、②自己または他人の権利を防衛するために③やむをえずした行為は、罰しないと定めています。
簡単に言えば、突然違法な行為を受ける際に、人の身体や財産などを守る目的のもと必要な範囲内で行った行為については、刑罰を科さないということです。
これにより、たとえ人に傷害を負わせたとしても、それが適法なものだったとして無罪になるというわけです。
実務上正当防衛は複雑な規定であり、その成否を判断するのが常に簡単というわけではありません。
もし正当防衛が成立しなければ、たとえ過剰防衛が成立しても、有罪となって刑罰が科されることには変わりありません。
ですので、正当防衛により無罪だと主張するのであれば、やはり弁護士に依頼してしっかりと争うことをおすすめします。
弁護士は法律のプロなので、正当防衛の成立を認めるうえで重要なポイントを見極め、無罪を目指して的確な主張を行うことが期待できます。
お困りであれば、まずはお近くの弁護士にご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件に特化した弁護士が、無罪獲得に向けて正当防衛をはじめとする様々な主張を検討します。
傷害罪を疑われたら、刑事事件・少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
初回法律相談:無料
富津警察署までの初回接見費用:42,200円