駅構内で寝ている男性のリュックを物色した男性を現行犯逮捕~千葉県千葉市で起きた窃盗未遂事件~

今回は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所千葉支部が、千葉県千葉市内で起きた窃盗未遂事件をもとに、窃盗未遂罪が成立する要件や刑罰について解説します。

<事例>

千葉県警は15日、窃盗未遂罪(すり)の疑いで千葉市中央区、自称会社員の男A(41)を現行犯逮捕した。

逮捕容疑は同日午前2時5分ごろ、同区のJR千葉駅の階段で、酒に酔い寝ていた会社員の男性V(39)=船橋市=のリュックサック内を物色した疑い

県警捜査3課によると、「(リュックを)開けたのは間違いないが泥棒はしていない」と容疑を否認している。
警戒中の同課員と鉄道警察隊員が取り押さえた。
(※9/17に『Yahoo!JAPANニュース』で配信された「JR千葉駅の階段、寝ている男性のリュックを物色 窃盗未遂の疑いで男逮捕」記事の一部を変更して引用しています。)

<窃盗未遂罪とは>

今回の事例では、Aは窃盗未遂罪の疑いで現行犯逮捕されています。
窃盗未遂罪について解説する前に、まずは窃盗罪について見ていきましょう。

窃盗罪については、刑法第235条で以下のように規定されています。

刑法第235条(窃盗)

他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

「他人の財物」とは、自分の占有下にない財布や腕時計などの金品や現金を指し、これを盗むことで、窃盗罪が成立します。
他人の財物を窃取することで窃盗罪の既遂となり、窃盗罪が成立しますが、結果として他人の財物を盗んでいない場合は未遂となり、窃盗未遂罪が成立することになります。

窃盗未遂罪については、刑法第243条で以下のように規定されています。

刑法第243条(未遂罪)

第235条から第236条まで、第238条から第240条まで及び第241条第3項の罪の未遂は、罰する。

窃盗未遂罪は、窃盗罪の実行に着手したものの、結果として既遂とならなかった場合に成立します。
ここで問題となるポイントが、どのタイミングで実行の着手があったと判断されるかどうかです。

窃盗罪の実行の着手時期については、一般的には、財物に対する他人の占有を侵害する行為を開始したとき占有侵害への密接な行為を開始したときとされています。

今回の事例で考えると、AはVが寝ている隙にリュックの中を物色していた段階で現行犯逮捕されているため、結果としてVの財物は窃取しておらず窃盗罪は既遂されていません。
ただ、Vの財物に対する占有を侵害する行為を開始していると考えられるため、窃盗罪の実行の着手があったと判断され、窃盗未遂罪の疑いで現行犯逮捕されたと考えられます。

<窃盗未遂罪の刑罰>

窃盗未遂罪について規定している刑法第243条では、窃盗未遂罪が成立した場合の処罰内容については明記されていません。
窃盗未遂罪に限らず、未遂罪の処罰内容については、刑法第43条と刑法第68条によって規定されています。

刑法第43条(未遂減免)

犯罪の実行に着手してこれを遂げなかった者は、その刑を減軽することができる。ただし、自己の意思により犯罪を中止したときは、その刑を減軽し、又は免除する。

刑法第68条(法律上の減軽の方法)

法律上刑を減軽すべき一個又は二個以上の事由があるときは、次の例による。
 死刑を減軽するときは、無期の懲役もしくは禁固又は10年以上の懲役若しくは禁固とする
 無期の懲役又は禁固を減軽するときは、7年以上の有期懲役又は禁固とする。
 有期の懲役又は禁固を減軽するときは、その長期及び短期の2分の1を減ずる。
 罰金を減軽するときは、その多額及び寡額の2分の1を減ずる。
 拘留を減軽するときは、その長期の2分の1を減ずる。
 科料を減軽するときは、その多額の2分の1を減ずる。

窃盗罪の処罰内容は、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金です。
つまり、窃盗未遂罪の処罰内容が減軽される場合は、15日以上5年以下の懲役(刑法第68条第3号)又は25万円以下の罰金(刑法第68条第4号)になるということです。

<窃盗未遂事件を起こしたら弁護士へ>

窃盗未遂罪による刑事事件を起こしてしまえば、逮捕・勾留されたり起訴されて前科がついてしまう可能性もあります。
逮捕・勾留による長期的な身柄拘束や、起訴されて前科がつくことを避けるためにも、弁護士に刑事弁護活動を依頼することをお勧めします。

弁護士が代理人として、早期の身柄解放不起訴処分の獲得、万が一起訴されてしまった場合の未遂減軽の主張などの弁護活動に尽力してくれます。

また、窃盗未遂罪では被害者との示談を締結させることが、不起訴処分の獲得などに重要なポイントとなります。
被害者との示談交渉についても、弁護士に弁護活動を依頼しておけば、スムーズに進めてくれるため、当事者間で示談交渉をするよりも示談が締結できる可能性が高まります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、様々な刑事事件で弁護活動を担当した実績を持つ、刑事事件少年事件に特化した専門の法律事務所です。
千葉県内で窃盗未遂罪による刑事事件を起こしてしまった方は、まずは弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所千葉支部までご相談ください。

ご相談の予約については、24時間365日受付中の弊所フリーダイヤル(0120-631-881)でお待ちしております。

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