窃盗罪には空き巣,スリ,置き引き,自転車窃盗と様々な種類がありますが,ここでは万引きについて,架空の事例を題材に,どのように刑事手続が進んでいくかを見ていきましょう。
事例
Aはスーパーで買い物中,清算前の商品数点を自分の鞄に詰め込んだ。Aはレジを通らずに店外に出ようとしたところ,Aの行動を不審に思っていた店員に呼び止められた。
事務所に連れて行かれたAは,諦めて鞄の中身を示したため,万引きが発覚した。Aは店員の通報によって駆け付けた警察官により逮捕された。
どのように刑事手続が進むのか
万引きは特別な技術や準備を伴わなくても行える犯罪です。
そのため,つい魔が差して犯行に及んでしまうことも少なくありません。
年間に発覚する万引きは12万から15万件に及び,店舗に対して大きな財産的被害をもたらしています。
Aは店員に呼び止められて大人しく従っていますが,仮に暴力を振るってでも逃げ出した場合,事後強盗罪(刑法238条)となり,より罪が重くなります。
窃盗罪(刑法235条)は10年以下の懲役又は50万円以下の罰金が科せられますが,事後強盗の場合は5年以上の懲役刑になります。
裁判になった場合は罰金で済むという選択肢がなくなり,刑務所へ収容されずに済む執行猶予もつきにくくなります。
事例続き
Aは自分の軽率な犯行を反省し,弁護士に被害弁償を依頼した。Aから依頼を受けた弁護士は,被害品の買い取りというかたちで被害弁償を行い,被害店舗との示談を成立させた。
弁護士は示談の成立及びAが謝罪の意思を示していることを検察官に伝えた。
検察官は勾留(逮捕後も身体拘束を継続させることを言います。)請求を行わず,Aを起訴猶予とした。
窃盗罪は財産に対する犯罪であるため,被害弁償を行うことで,実質的な被害回復を図ることができます。
また,被害が回復したことに加えて,被疑者(犯罪の嫌疑がかけられている人のことを言います。事例ではAのことです。)が自らの意思で被害弁償をしようとしたことは,被疑者に証拠隠滅や逃亡のおそれがないことも意味し,早期の釈放につながります。
刑事手続は,時間が経過するほど勾留,勾留の延長,起訴と,下される処分は重くなっていきます。
だからこそ,初動対応として,法律の専門家である弁護士に依頼することが重要になるのです。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所千葉支部では,刑事事件を扱う弁護士事務所として,事件の早期解決に取り組ませていただきます。
お悩みの際には,まずは一度ご相談ください。