嘘の通報を警察にすると逮捕される!?千葉県旭市で起きた偽計業務妨害事件
今回は、少年が虚偽通報をして警察の業務を妨害した疑いで逮捕された偽計業務妨害事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所千葉支部が解説します。
<事案の概要>
旭署は27日までに、偽計業務妨害の疑いで旭市在住の少年A(17)を逮捕しました。
逮捕容疑は25日午前4時35分ごろ、同署に「川の中に人のようなものが浮いている」とうその内容の電話通報をして、署員を出動させ、業務を妨害した疑いです。
同署によると、Aは容疑を認め、ゲーム感覚だったという趣旨の供述をしている模様です。
(※7/28に『Yahoo!JAPANニュース』で配信された「「川の中に人のようなものが浮いている」 虚偽通報で業務妨害、容疑で少年を逮捕 旭署」記事の一部を変更して引用しています。)
<偽計業務妨害罪と威力業務妨害罪>
業務妨害罪には、威力業務妨害罪と偽計業務妨害罪があります。
どのような場合にどちらが成立するのでしょうか。
偽計業務妨害罪は刑法第233条、威力業務妨害罪は刑法第234条で以下のように規定されています。
虚偽の風説を流布し、又は偽計を用いて、人の信用を毀損し、又はその業務を、妨害した者は、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
威力を用いて人の業務を妨害した者も、前条の例による。
偽計業務妨害罪とは
まず、刑法第233条の偽計業務妨害罪から見ていきましょう。
「偽計」とは、人を欺き、または人の不知や錯誤を利用することをいいます。
今回のような虚偽通報は警察官を欺いたものといえるので「偽計」にあたります。
また、「業務」とは、職業その他の社会生活上の地位に基づき継続して従事するものをいいます。
今回のような警察官の公務も、偽計業務妨害罪の「業務」にあたります。
威力業務妨害罪とは
次に、刑法第234条の威力業務妨害罪について見てみましょう。
「威力」とは、人の意思を制圧するような勢力を示すこといいます。
判例では、被害者の事務机に猫の死骸を入れて被害者に発見させた場合、卒業式において制止しようとした教頭に怒号を飛ばした場合なども「威力」にあたるとしました。
「業務」については、偽計業務妨害罪と定義は同じです。
しかし、偽計業務妨害罪と違って、警察官の公務は威力業務妨害罪の「業務」にはあたりません。
なぜなら、警察官の行う公務は権力的公務といわれるところ、このような権力的公務に従事する者は実力で威力を排除することができるとされているためです。(もっとも、別途、公務執行妨害罪が成立する可能性はあります。)
これに対し、偽計業務妨害罪の「偽計」は権力的公務に従事する者であっても実力で偽計を排除することはできません。
よって、権力的公務も「業務」にあたるため、今回の事案では偽計業務妨害罪が成立する可能性が高いということになります。
<事務所紹介>
今回のように軽い気持ちで虚偽通報をした場合であっても、偽計業務妨害罪が成立する可能性があります。
そのため、「このくらいなら業務妨害罪にあたらないだろう」という安易な考えはしない方が良いでしょう。
そして、万が一刑事事件を起こしてしまったという方や、ご家族が事件を起こして逮捕されてしまったという方は、早急に弁護士に相談することをおすすめします。
弁護士に刑事弁護活動を依頼すれば、弁護士が代理人として、早期釈放や不起訴処分の実現を目指すための弁護活動や、万が一起訴された場合にもなるべく軽い減刑判決を獲得できるような弁護活動に尽力します。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、今回のような業務妨害罪はもちろん、様々な刑事事件で弁護活動を担当した実績を多く持つ、刑事事件に特化した専門の法律事務所です。
ご相談・ご依頼に関するお問い合わせは、弊所フリーダイヤル(0120-631-881)にて24時間365日受付中です。
千葉県内で刑事事件を起こしてしまった方や、ご家族が事件で逮捕されてしまったという方は、まずは弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所千葉支部までご相談ください。