公然わいせつ罪と略式起訴について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所千葉支部が解説します。
Aさんは、生活費に困って、自宅のパソコンの画面を通じて特定のお客さんに自分の裸などを見せるアルバイトをしていました。そうしたところ、千葉県習志野警察署に公然わいせつ罪で逮捕されてしまいました。その後、Aさんは略式起訴され罰金30万円の命令を受けて釈放されました。
(フィクションです)
~公然わいせつ罪とは~
公然わいせつ罪は刑法174条に規定されています。
刑法174条
公然とわいせつな行為をした者は、6月以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。
つまり、規定から、公然わいせつ罪とは、「公然」と「わいせつな行為」をした場合に成立し、裁判で有罪と認められれば、6月以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料を科せられる犯罪だということが分かります。以下、「公然」と「わいせつな行為」について詳しく解説いたします。
「公然」とは、不特定又は多数の者が認識することができる状態をいいます。現実に不特定又は多数の者に認識される必要はなく、その可能性があれば足りるとされています。
公園や路上などの人前での行為が典型だと思いますが、報道された事件のように、インターネットの世界は不特定又は多数の者が利用することが可能ですから、インターネット上の行為も「公然」に当たります。
判例によれば、「わいせつな行為」とは、行為者又はその他の者の性欲を刺激興奮又は満足させる行為であって、普通人の正常な性的羞恥心を害し善良な性的道義観念に反するものをいうとされています。裸、性器等の露出はその典型といっていいでしょう。
~略式起訴とは? ~
略式起訴とは略式裁判を求めるための起訴です。
略式裁判は、公開の法廷に出廷することを要せず、書面審理のみで終わる裁判です。
そのため、略式裁判を受けるメリットとしては、
- 懲役刑、禁錮刑を受けるおそれがない(略式命令では100万円以下の罰金又は科料の刑の命令しか出せない)
→将来、刑務所で服役するおそれがなくなる
- 公開の法廷に出廷する必要がない
→会社を休む必要がない(通常の日常生活を送れる)、裁判を他人の目に晒されることはない(事件を秘密にできる)
ことのほか、身柄を拘束されている場合は
- 略式命令を受けた時点で釈放される
→早期釈放
という点を挙げることができます。
検察官が行う起訴には「正式起訴」と「略式起訴」の2種類があります。
「正式起訴」は、裁判所に対し、皆さんもテレビドラマなどでよくみる公開の法廷で裁判(正式裁判)を開くことを求めるものに対し、「略式起訴」は、裁判所に対し、公開の法廷ではなく書面のみでの裁判(略式裁判)を求めるものです。
検察官が略式起訴する意図がある場合は、検察庁での取調べ時に、略式裁判を受けることに対する同意を求められます。
その後、正式に略式起訴される場合は、勾留満了日1日から2日前に、警察署から検察庁へ護送されます。裁判所から呼び出しを受けるまで検察庁で待機します。裁判所から呼び出しを受けると検察庁から裁判所へ護送され、裁判所書記官から「被告人を罰金●●万円に処する」などと書かれた略式命令謄本を受け取ります。この時点で釈放されます。
なお、略式命令謄本を受けた人の翌日から起算して14日間以内は正式裁判の申し立てをすることができます。
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