刑事事件の当事者となってしまった場合,早期に弁護士へ依頼することが大きなポイントとなります。それでは,弁護士はどの段階で来てくれるのでしょうか。
また,そもそも弁護士に依頼できるタイミングはいつになるのでしょうか。今回はこれらの点を確認していきましょう。
ここで一つ知っておいていただきたいことがあります。
私選弁護人と国選弁護人の違い
それは,刑事事件で依頼できる弁護士には私選弁護人と国選弁護人という2つの種類があることです。
私選弁護人とは,依頼者と有償の委任契約を締結し,弁護活動にあたる弁護士を指します。
これに対して国選弁護人とは,弁護士費用を払えない人のために,国が本人に代わって支出を行い,選任される弁護士のことを指します。
私選弁護人も国選弁護人も,弁護士であることに変わりはありません。
また,刑事事件の当事者から依頼を受けた場合,私選弁護人であろうと国選弁護人であろうと,最善の弁護活動を行う義務が弁護士に課せられます。
そのため,弁護士から受けることのできるサポートの質は,私選弁護人であっても国選弁護人であっても,形式上,違いはありません。ここで形式上と注を付けたのには理由があります。
それは,国選弁護人の場合,選任できる時期に法律上の制約があるためです。
国選弁護人に依頼できるのは,勾留(逮捕後,捜査の必要上,さらに身体の拘束を延長することを言います。)が決定された段階です。
逮捕されてから勾留が決定するまでの間,最大で3日間を費やします。
つまり,国選弁護人にのみ依頼する場合,逮捕されてから3日間は弁護士がついていない状況で取調べを受けることになるのです。
警察官や検察官による取調べで作成される書面(これを調書と言います。)は,後に裁判となった場合に,重要な証拠となります。
それゆえ,事実関係が曖昧なまま取調べで供述してしまった場合,裁判になってからこれを覆すのは非常に困難になるという危険があります。
いかに国選弁護人が最善の弁護活動を展開したとしても,受任以前に作成されてしまった調書を事後的に争うのは至難の業です。
刑事事件では逮捕直後の初動対応が早期の釈放を得るために決定的に重要です。
国選弁護人は法律上の制約により,この最も重要な局面で十分なサポートをできない可能性があるデメリットがあります。
また,逮捕を伴わずに捜査が続けられる場合(これを在宅事件と言います。),勾留の前提である逮捕もされていないため,国選弁護人に依頼することがそもそもできません。
なお,起訴される前の段階では国選弁護人を選任できるのは一定の刑事事件に限られていましたが,平成30年6月には,法改正により,勾留が決定した事件については全て国選弁護人の対象事件となります。
これに対して私選弁護人の場合,このような制約は一切かかりません。刑事事件の当事者になってしまった場合(被疑者と呼ばれる立場になります),いつでも弁護士を依頼することができます(刑事訴訟法30条1項)。
そのため,逮捕の直後から弁護士によるサポートを受けることができ,取調べの対応を始めとして様々なアドバイスを得られます。
また,逮捕の直後から動くことができるため,早期の釈放に向けた活動を展開しやすいというメリットもあります。
在宅事件の場合でも,裁判になることを防ぐために十分な弁護活動を展開できます。
もう一点,私選弁護人に依頼するメリットは,どの弁護士に依頼するかを自分で決めることができることです。
国選弁護人だと,どのような弁護士が来てくれるかは決められません。
それゆえ,あまり刑事事件を手掛けない弁護士が選任される可能性もあります。
これに対して私選弁護人の場合は,依頼する弁護士を自分で決めることができるため,刑事事件に強い経験豊富な弁護士を確実に選ぶことができます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所千葉支部では,刑事事件を扱う弁護士事務所として,刑事事件の実績豊かな弁護士によるサポートをお約束します。
私選弁護人への依頼を検討しているのであれば,是非一度ご相談ください。