危険ドラッグという言葉を耳にされたことがあるかと思います。
一般に合法ハーブなどと呼ばれていた薬物であり,近年,脱法ドラッグという名称から危険ドラッグという名称に変更されました。
危険ドラッグを使用したドライバーによる交通事故など,社会の耳目を集める事件報道もされています。
危険ドラッグの処罰の対象
ところで,かつては脱法ドラッグと呼ばれていた危険ドラッグですが,具体的にどのような行為が処罰の対象になるのでしょうか。
また,そもそも危険ドラッグを取り締まる法律は何なのでしょうか。
これらの点が実はよく分かりにくいところが危険ドラッグの特徴といえます。
たとえば,違法薬物である覚せい剤は,覚せい剤取締法という法律によって譲渡,譲受,所持,使用等の行為が規制されています。
同じく違法薬物としてよく知られている大麻は,大麻取締法によって,譲渡,譲受,所持等の行為が規制されています。
このように,覚せい剤や大麻は,その名称がそのまま表れた取締法によって規制されているため,処罰の根拠が分かりやすいといえます。
これに対して,危険ドラッグについては,危険ドラッグ取締法という法律で規制されているわけではありません。
危険ドラッグを規制するのは,かつて薬事法と呼ばれていた,「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(薬機法と略されます)」という名の法律です。
危険ドラッグと呼ばれる薬物の一部は,この薬機法で「指定薬物」という表現がされています(薬機法2条15項)。
業として指定薬物を製造,輸入,販売,授与,販売又は授与の目的で貯蔵,陳列した場合の所持に対して,5年以下の懲役若しくは500万円以下の罰金,又は懲役と罰金の両方が科せられます(薬機法83条の9)。
つまり,ある危険ドラッグが指定薬物に該当した場合,処罰の対象となるのは主に販売者としての行為であり,販売目的でない所持や使用は規制されていません。
もっとも,危険ドラッグはそのような名称に変更された経緯からも明らかなように,覚せい剤や大麻と同等か,それ以上に人体へ有害であるため,規制対象でないにしても,所持や使用は絶対に避けるべきです。
危険ドラッグは単純所持や使用についても処罰の対象になる場合があります。
先ほど,指定薬物に該当するのは危険ドラッグの一部と説明しましたが,有害性が明らかになることで,より規制の厳しい「麻薬」に指定されることがあるためです。
麻薬に指定された危険ドラッグは,今度は「麻薬及び向精神薬取締法」という法律で規制されます。
麻薬に該当すると,所持や使用についても処罰の対象となります。
さらに,罰則についても麻薬及び向精神薬取締法の方が,薬機法よりも重くなっています。
このように,危険ドラッグと呼ばれている薬物は,どの法律によって規制されているかによって,所持や使用に対する規制の有無が変わってくるという特徴があります。
危険ドラッグが指定薬物となっているのか麻薬となっているのかは,厚生労働省の発表等を調べることで分かりますが,使用してしまってから,所持,使用も規制される麻薬に指定されていることに気づくようなこともあります。
危険ドラッグは,規制が追い付かないという報道からも分かると思いますが,数えきれないほどの種類があります。
それゆえ,使ってしまった危険ドラッグが何に指定されているかを調べるのは非常に困難です。
麻薬に指定された危険ドラッグを使用,所持してしまった場合,規制対象であるため逮捕されます。
逮捕されてしまった場合,長期間の身体拘束がされるおそれがあります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所千葉支部では,刑事事件を扱う法律事務所として,早期の釈放に向けた弁護活動を展開します。
危険ドラッグを使用したことでの身体症状,依存症が生じている場合,一刻も早く釈放されて専門医療機関による治療が必要になるため,是非ともご相談ください。