刑事事件の当事者となってしまった場合,警察官と検察官が刑事手続に関与します。
警察官については,事件当時者となった時以外にも関わる場面はありますし,刑事手続の場面においても,新聞やテレビの事件報道で,大まかなイメージが掴みやすいと思います。
これに対して,検察官は事件当事者になった時以外は関わる場面があまりないため,なじみがない方も多いと思われます。
ここでは,警察官と検察官の役割の違いと,両者が刑事事件のどのような場面で関与するのかを見ていきましょう。
警察官と検察官の役割の違い
警察官も検察官も捜査機関なので,捜査を行う点は共通です。
もっとも,警察官の方が人数として圧倒的に多いため,実況見分のような現場での捜査は警察官が中心に行います。また,逮捕行為も主として警察官が行います。
検察官も取調べを行いますが,その他の捜査については,主に警察官へ必要な指示を行います(刑事訴訟法193条1項)。
検察官の最も重要な役割は,被疑者(犯罪の嫌疑がかけられている人のことを言います。)を起訴するかの決定をすることです。
起訴された場合,被疑者は裁判にかけられます(起訴された被疑者は被告人と呼ばれます。)。
この起訴の権限は検察官のみが有しています(刑事訴訟法247条)。
証拠上,犯罪への関与が明らかであっても,検察官は罪の重さ等の事情を考慮し,あえて起訴をしないこともできます(刑事訴訟法248条)。
このような理由での不起訴を,特に起訴猶予と呼びます。
次に,刑事手続のどの場面で警察官,検察官が関わるのかの説明を致します。
刑事手続のどの場面で警察官,検察官が関わるのか
まず,逮捕を行うのは先ほどの説明どおり,警察官になります。
逮捕をされると最大で72時間,留置所で拘束されます。
この間,警察官が取調べを行うことになります。
逮捕そのものよる拘束は72時間で終了するため,捜査のためにそれ以上の拘束(これを勾留と言います。)が必要な場合,裁判所の許可がいります。
この勾留の請求(延長する場合も含みます。)を行うのは検察官になります(刑事訴訟法205条1項)。
勾留の期間内に検察官は起訴すべきかの判断を行います。
起訴されて裁判になった場合,被告人の相手方当事者として,検察官が訴訟を追行します。
裁判の場面では検察官のみが関与することになります。
以上が警察官,検察官が刑事手続に関与する場面の概略になります。
これを見ると,検察官は起訴の決定を始めとして,勾留の請求を行うなど,刑事手続の重要な局面での関与が予定されていることが分かると思います。
すなわち,検察官に対し,勾留や起訴を行わないよう,証拠に基づいた説得的な書面を提出することが重要になってきます。
大きな不利益である勾留や起訴を回避するには,法律の専門家である弁護士に依頼することが一番です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所千葉支部では,刑事事件を扱う弁護士事務所として,検察官に対して説得的な主張を行います。
起訴,勾留に対してご不安な点がある方は,ぜひ一度ご相談ください。