インターネットの人口普及率は既に83パーセントに達しており,私たちの日常生活に欠かすことのできない存在になっています。
現在ではパソコンだけでなく,スマートフォンやタブレット端末も広く普及しているため,どこにいてもインターネットを利用できる環境が整えられています。
生活が格段に便利になった反面,インターネットでのトラブルも増えています。
ここでは架空の事例をもとに,インターネットでの書き込みから刑事事件化した場合の手続を見ていきましょう。
事例
Aは同じ大学に通う友人Bと些細なことで喧嘩してしまった。
腹を立てたAは,インターネット上の掲示板にBの実名を挙げて「〇〇大学のBは一般教養科目でカンニングをしたことがある。」と書き込んだ。
カンニングという事実を摘示したAの書き込みは名誉毀損罪(刑法230条1項)に該当します。
Bが実際にカンニングをしていたとしても,犯罪の成否に影響はありません。
書き込んだ先もインターネット上の掲示板という,誰もが閲覧できる場所であり,公然性も満たしています。
また,Aの書き込み動機はBとの喧嘩で腹を立てたためなので,刑法230条の2が定める不処罰の例外にも当たりません。
インターネットでは,互いに顔を合わせることもなく匿名での発言ができるため,つい気持ちが緩んで不適切な発言をしてしまうことがあります。
インターネットが普及したことにより,Aのように罪を犯してしまう人は増えています。
名誉毀損以外にも
名誉毀損のように事実を摘示しなくとも、インターネット上で他人を侮辱すれば侮辱罪(刑法231条)が成立します。
公的施設等に爆破予告をすれば威力業務妨害罪(刑法234条)に問われます。
殺人予告の場合は,脅迫罪に問われるおそれがあります(刑法222条1項)。
インターネット上の発言や書き込みが誰の目にも留まらなければ,刑事事件化しない場合もあります。
もっとも,最近では名誉毀損や犯罪予告の書き込み等を見た人が面白がって拡散することもあるため,回りまわって被害者の目に触れたり,警察に発覚したりするリスクも十分にあり得ます。
名誉毀損罪や侮辱罪は親告罪であるため,被害者Bなどの告訴がなければ裁判になることはありません(刑法232条1項)。
そのため,まずはBに謝罪して示談を取りまとめ,告訴をとりやめてもらうことが裁判を回避する一番の方法になります。
これに対して,爆破予告(威力業務妨害罪)や殺人予告(脅迫罪)の場合は親告罪に当たらないため,被害者の告訴の有無にかかわらず裁判になることがあります。
このように,広く普及したインターネットは,使い方を誤れば簡単に犯罪行為を生み出してしまいます。
軽率な書き込みや発言をしてしまってから,逮捕や裁判になるかもしれないと不安になる方は少なくありません。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所千葉支部では,刑事事件専門の弁護士事務所として,インターネットが絡む犯罪についても適切なアドバイスと弁護活動を行います。
ご自身の行為が法に触れてしまったかもしれないとお悩みの方は,まずは一度ご相談ください。