新聞,テレビ等の事件報道で,巨額の脱税事件が話題になることがあります。
修正申告や申告漏れといった言葉もよく目にしますが,ここでは脱税事件では刑事手続はどのように進むのかを確認していきましょう。
脱税とは
脱税とは,偽りその他不正の行為により,課税を免れる行為を指します(所得税法238条1項,法人税法159条1項等)。
脱税をしてしまうと,刑事罰が科せられます。
脱税事件の報道では,よく「申告漏れ」という言葉も使われますが,意図的に課税を逃れようとしたわけではない場合は脱税には当たりません。
単なる申告漏れなら,延滞税等を払う必要は生じますが,刑事罰は科されません。
また,仮装隠蔽の事実が発覚した際には,重加算税が課せられますが,これも刑事罰ではありません。
これに対して,脱税の場合は,10年以下の懲役若しくは1000万円以下の罰金又はその併科となります。
脱税事件の特徴
通常の犯罪の場合,警察の捜査後に検察官が起訴するかの判断を行いますが,脱税事件の場合は手続が異なります。
脱税事件では,まずは税務調査官による税務調査が行われます。
税務調査は税申告の指導を目的に行われます。税務調査は強制捜査ではないため,調査官が強引に立ち入ることはありませんが,妨害行為等には刑罰が科せられます。
妨害等を行った場合を除き,税務調査では申告漏れに対して課税がされることはあっても,刑罰までは科せられません。
税務調査によって脱税の疑いが生じた場合,今度は犯則調査を受けることになります。
犯則調査の手続では強制調査をする権限もあります。
犯則調査で脱税の事実が明らかになると,検察官へ告訴がされます。
その後は,検察官が捜査を行い,起訴するかを決定します。
起訴されると刑事裁判になるのは,他の犯罪と同様です。
このように,脱税事件では他の犯罪のように,警察の捜査が行われるわけではありません。
また,検察官が起訴する確率が高いという特徴もあります。
そのため,刑事事件化を避けたい場合は,検察官が関与する前の段階からの準備が重要です。
速やかに修正申告を行う,税務調査であらぬ誤解を受けないようにする,といった対策が必要です。
後々の刑事事件化を防ぐためには,税務のプロフェッショナルだけでなく,法律の専門家である弁護士の助力を得ることも大切です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所千葉支部では,刑事事件を扱う弁護士事務所として,刑事事件化を見通した適切な弁護活動であなたをサポートします。