数ある犯罪の中でも,暴力事件はイメージが浮かびやすいと思います。
傷害罪(刑法204条)に暴行罪(刑法208条),新聞・テレビ等で大々的に取りざたされる殺人罪(刑法199条)は暴力事件の中でも目立ちますが,公務執行妨害罪(刑法95条1項),逮捕・監禁罪(刑法220条),器物損壊罪(刑法261条)も暴力事件に含まれます。
また,脅迫罪(刑法222条1項)や名誉毀損罪(刑法230条1項),威力業務妨害罪(刑法234条)のように,被害者と顔を合わせずとも,インターネットを介して行うことのできる犯罪も暴力事件の一種となります。
こうして罪名を並べてみると,いかにも重々しく,日常生活とは大きくかけ離れた世界のようにも思えます。
しかし,暴行罪,傷害罪はふとした喧嘩でも生じます。
傷害の定義は生理機能を害することなので,たとえ全治1週間の打撲であっても,傷害であることには変わりないのです。
また,酔って気が大きくなった状態で,つい手が出てしまうこともあり得ます。
飲酒は犯罪が成立するために必要な責任能力に影響を及ぼすことがありますが,通常見られる単純酩酊では,犯罪の成立に影響は生じません。
酔ったうえで怪我をさせてしまえば,それはれっきとした傷害罪になります。
公務執行妨害罪も成立する可能性
暴行事件や傷害事件がきっかけとなり、公務執行妨害罪も成立してしまう典型例として,警察官による職務質問への妨害が挙げられます。
例えば,急いでいる時に呼び止められ,苛立ちのあまり警察官を突き飛ばしでもすれば,それで公務執行妨害罪は成立してしまいます。
職務質問そのものが違法だった場合には公務執行妨害罪は成立しませんが,警察官は犯罪の予防のために職務質問を行うことが警察官職務執行法で認められており,状況によっては立ち去ろうとする者を引き留めることも裁判上認められています。
それゆえ,職務質問の違法を争えるケースは非常に限られてきます。
インターネットを介することで,犯罪が容易になった面も否めません。
現在はSNSも普及しているため,些細な言い合いから名誉毀損や脅迫を行ってしまうケースがあります。
また,インターネット上の掲示板に爆破予告を書き込んで威力業務妨害罪に問われたケースが報道されたこともありましたが,インターネットの持つ匿名性,アクセス容易性を悪用して犯罪に手を染めてしまうことは,情報社会となった現在では誰にでも起こりうるものと言えます。
このように,暴力事件の加害者となってしまうことは決して他人事ではないのです。
後になって「とんでもないことをしてしまった。」と反省しても,捜査の必要があれば逮捕・勾留(身体拘束を継続することを言います。)されますし,検察官が必要と判断すれば,起訴されて裁判になります。
刑事事件に関わるのは,大多数の人にとって初めてのことです。
このような場合は,法律の専門家である弁護士に早急に相談することが無難です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所千葉支部では,刑事事件を扱う弁護士事務所として,取調べ対応や被害者との示談交渉を始めとして,1日でも早く事件が解決するよう,迅速な弁護活動を行います。
暴力事件を起こしてしまいお悩みの方は,まずは一度ご相談ください。