いわゆる交通違反は,道路交通法という法律に違反しています。
それゆえ,罰則の定められた規定に違反した場合,本来なら刑事手続に移行することになります。
もっとも,あらゆる交通違反を刑事手続にのせて捜査,起訴,裁判という過程を踏んだ場合,その違反数の多さから処理がしきれなくなってしまいます。
そこで,比較的軽微な交通違反については,反則金を納付することで,刑事手続へ移行する前に手続を終了することができます。
これが交通反則通告制度と呼ばれる制度です。
しかし,軽微とはいえない交通違反については反則金では済まずに,通常の刑事手続が進みます。
今回ご紹介する無免許運転は,交通反則通告制度の適用外である違反の典型です。
また,スピード違反についても,一般道路で時速30km以上,高速道路で時速40km以上の速度超過の場合は,交通反則通告制度の適用外となります。
無免許運転
道交法は無免許運転を行った者に対して,3年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処すると規定しています(同法64条1項,117条の2の2第1号)。
免許を取得したことがない者だけでなく,免許が失効した者や,免許停止期間中に運転を行った者も無免許運転になります。
無免許運転をするおそれがある者に車両を提供した場合も,同様に罰せられます。
無免許運転により事故を起こした場合は,事故の態様によって別途犯罪が成立しますが,無免許運転であることで罪が重くなることがあります。
例えば,運転に必要な注意を怠って人を死傷させた場合は,過失運転致死傷罪として7年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金が科せられますが(自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律5条),これに無免許運転が重なると,10年以下の懲役となります(同法6条4項)。
懲役刑の上限が引き上げられるだけでなく,罰金刑という選択肢がなくなるため,より罪が重くなっていることがご理解いただけると思います。
そもそも免許を取得したことがない場合には,より重い危険運転致死傷罪に該当する場合がありえます(同法2条3号)。
この場合,15年以下の懲役となり,死亡結果が生じた場合は,懲役1年以上という下限も設けられます。
スピード違反について
スピード違反については,6月以下の懲役又は10万円以下の罰金が科せられます(道交法22条1項,118条1項1号)。
無免許運転もスピード違反も罰金刑で済む可能性がありますが,この場合は反則金を納付した時とは異なり,前科になるという違いがあります。
以上のように,交通違反の中には反則金納付では済まされない違反類型が存在します。
無免許運転については,人身事故の刑罰を重くするというリスクもあります。
交通事犯では人身,物損事故と交通違反が成立するため,取調べ対応や不起訴,執行猶予獲得に向けた活動が違反事実ごとに必要となります。
被害者との示談や身元引受の要請等も必要になるため,法律の専門家である弁護士へ相談することが重要になります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所千葉支部では,刑事事件を扱う弁護士事務所として,交通事犯の特性を踏まえた弁護活動を行います。
無免許運転やスピード違反で逮捕や起訴がされないかご不安な方は,まずは一度ご相談ください。