犯罪の嫌疑がかけられている人は,法律上,「被疑者」と呼ばれます。
事件報道では容疑者と呼ばれたり,あるいは犯罪者と呼ばれたりもします。
罪を犯した人というと,住む世界がまるで違うようにも思えてしまいますが,誰もが加害者になることはありえます。
ついかっとなって殴って怪我をさせてしまった,魔が差して万引きをしてしまった。
様々な事情はあるにせよ,このような人たちも被疑者です。
とりわけ,人身事故の加害者については,本人すら望んだ結果でなくても被疑者となってしまいます。
ここでは架空の事例をもとに,人身事故を起こしてしまった場合に,どのように刑事手続が進んでいくのかを見ていきましょう。
事例
Aは勤務先から帰宅するため,自動車を運転していた。横断歩道で左折しようとしたAは,突然鳴り出した携帯電話の着信音に気をとられてしまい,横断歩道を自転車で進行してきたBと接触してしまった。
Bは転倒し,約1週間の加療を要する顔面創傷の傷害を負った。
どのように刑事手続が進んでいくのか
Aは横断歩道での巻き込み,接触を避けるための注意を怠ってBに怪我を負わせたため,過失運転致傷罪に問われます(自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律5条)。
7年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金が刑罰として規定されています。
Aが逮捕されるかは,証拠隠滅や逃亡のおそれがあるかによって決まります。
事例では加療1週間の傷害でしたが,これが死亡や重傷であるとすると,刑罰を恐れて逃亡するおそれが高いと判断されやすくなります。
また,実際にその場から逃げ出したり,警察での取調べで嘘をついたりすると,証拠隠滅や逃亡するおそれがあると判断されやすくなります。
逮捕に引き続いて身柄が拘束されるか否かにおいても,証拠隠滅や逃亡のおそれの有無が判断されます。
弁護方針
それゆえ,弁護方針としては,身元引受人となる家族の存在や,安定した職業に就いているため逃亡のおそれがないことを明らかにしていくことになります。
過失運転致傷罪は,被害者と示談ができていれば裁判にならない可能性も十分あります。
仮に起訴された場合も,簡単な手続で罰金刑を受けることにとどまる可能性もあります。
それゆえ,被害者への示談や警察官,検察官に対する取調べ対応を適切に行って正式裁判を回避するとともに,できる限り身柄の拘束がされないようにすることが重要になります。
もっとも,事故を起こしてしまった動揺が残るなかで,専門知識や経験のいる示談交渉や取調べ対応を行うのは一筋縄ではいきません。
早期の解決のためには,法律の専門家である弁護士に依頼することが確実です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所千葉支部では,刑事事件を扱う弁護士事務所として,適切な初動対応による早期の事件解決を目指します。
人身事故を起こしてしまってお悩みの方は,まずは一度ご相談ください。