金銭,財物を目的にした財産事件の種類は様々です。
世間の耳目を集めるオレオレ詐欺から,多額の横領事件,カツアゲから押し込み強盗まで,いずれも財産事件に含まれます。
ここでは,財産事件の持つ特徴について見ていきましょう。
財産事件の特徴
財産事件は文字通り財産を狙った犯罪です。
つまり,被害額と同額の被害弁償を行った場合,実質的に被害は回復されたことになります。
例えば,横領事件は時として数千万円単位の被害が生じますが,全額を被害弁償できた場合,執行猶予となって刑務所に収容されずに済む可能性が高まります。
横領罪(刑法252条1項),業務上横領罪(刑法253条)はいずれも懲役刑しか刑罰を定めていないため,執行猶予がつくかは大きな違いとなります。
反対に,十分な被害弁償ができなければ,数百万円単位の損害でも実刑になるおそれがあります。
このように,被害弁償の持つ効果が他の犯罪に比してより強いのが財産事件の特徴です。
詐欺罪(刑法246条1項)や恐喝罪(刑法249条1項)を始めとして,財産事件は罰金刑という選択肢を設けていない犯罪が多いため,被害弁償により執行猶予を得られるかどうかが重要な分かれ目となってきます。
万引き,すり,ひったくり,空き巣は窃盗罪(刑法235条)に当たります。
窃盗罪は「10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。」と規定しているため,事案によっては罰金で済むこともあります。
もっとも,この窃盗罪は状況次第でより重い罪に該当するというリスクがあります。
例えば,ひったくりは先ほど説明したとおり,一般に窃盗罪として処理されますが,バイクによりひったくりを行おうとしたところ,被害者が鞄を取られまいと抵抗したため,引きずってしまった場合は,強盗罪(236条1項)に当たることがあります。
強盗罪になると5年以上の懲役刑が科せられます。
執行猶予は3年以下の懲役刑が判決で宣告された場合にしか付すことができないため,強盗罪では特別の減軽事情がない限り,執行猶予がつかないという大きな違いが生じます。
他にも,万引きをして店を出たところ,店員に追いかけられたため,逃げるために殴ってしまった場合,窃盗罪と暴行罪(刑法208条)ではなく,事後強盗罪(刑法238条)というより重い罪が成立するおそれがあります。
事後強盗罪も,5年以上の懲役刑が科せられます。
以上のように,財産事件は
- 罰金で済まない罪が多いため,被害弁償・示談を成立できるかが大きな要素となる,
- 罰金刑が定められている窃盗罪も,状況によってはより重い罪になりうる,
という特徴があります。
これらの特性を踏まえると,財産事件は法律の専門家である弁護士に相談するメリットが強く表れるといえます。
まず,①については,弁護士が間に入ることで円滑な示談交渉が可能となります。
当事者間では,被害者,加害者という立場であるため交渉が難航することがありますし,示談成立後も金銭のことでトラブルになることもあります。
弁護士が介在することで,これらのリスクを回避し,スムーズな交渉が行えます。
②についても,適切な取調べ対応をレクチャーすることで,処分をできるだけ軽くする方向へ弁護活動を行います。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所千葉支部では,刑事事件専門の弁護士事務所として,財産事件の特性を踏まえた弁護活動を行います。
逮捕や裁判になることを不安に思われている方は,まずは一度ご相談ください。