ゴミ捨て場に捨てられているものを持ち帰った場合に問われる可能性のある罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所千葉支部が解説致します。
刑事事件例
Aさん(30代・会社員男性)は、近所のごみ捨て場の前を通りかかった際、一般にはあまり知られていないがマニアにとっては非常に価値のある物が捨てられているのを見つけました。
Aさんは、ごみ捨て場にある物だから勝手に持って行っても構わないのと思いました。
しかし、ごみ捨て場から勝手に物を持ち去った行為が窃盗罪に当たるとされた例もあると聞いたことがあり、無断で持ち去るのを躊躇し、結局、元の持ち主を探し出して買い取ることにしました。
もし、Aさんが無断でごみを持ち帰り、そのごみを転売した場合、どのような罪に問われるでしょうか。
(フィクションです)
遺失物等横領罪
本件の物はごみとして捨てられた物なので、誰の所有物でもない物であると考えられます。
刑法 第254条
遺失物、漂流物その他占有を離れた他人の物を横領した者は、1年以下の懲役又は10万円以下の罰金若しくは科料に処する。
ここで言う他人の物とは、誰かの所有権に属する物であり、誰の所有物でもない物はこれに当たりません。
従って、捨てられた物は元の持ち主が所有権を放棄した物とも見ることができ、これを勝手に持って帰っても、遺失物等横領の他人の物に当たらず,何の犯罪も成立しないのではないかとも思われます。
窃盗罪
もっとも、Aさんは、ごみ捨て場から勝手に物を持ち去った行為が窃盗罪に当たるとされた例があることを知っていて、無断で持ち去るのを思い止まりました。
刑法 第235条
他人の物を窃取した者は,窃盗の罪とし,10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
ここでいう他人の物とは、誰かが占有している物をいいます。
ごみ捨て場にある物は、元の持ち主が捨てた物であり、元の持ち主が占有する物ではないように見えます。
しかし、平成20年1月10日東京高裁判決では
「区民が,古紙等の資源を収集日に資源・ごみ集積所に排出するのは、これを再生利用の目的となる有価物のものとして、区の収集・回収によるリサイクル事業に委ねるためであるから、区又はその委託を受けた収集運搬業者が資源・ごみ集積所からこれを収集してその占有下に収めるまでは、一般に、区民は、なお継続してこれを所有占有しているものとみるべきである」
とし,収集されるまでの間は,まだごみを捨てた者に所有・占有があるものとされました。
この判決以外にも、ごみ捨て場に捨てられたごみについては、収集されるまではごみを捨てた者に所有・占有があるという下級審判決がいくつか出ています。
このように見ると,ごみ捨て場からの持ち去りは、遺失物等横領の問題になり得るばかりか、窃盗の問題ともなり得るということになります。
Aさんは,元々の所有者を探し出して買い取ったので罪にはなりませんでしたが、ごみ捨て場に捨ててある物は不用品と安易に判断して勝手に持ち去ることはやめるべきでしょう。
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