松戸市の公然わいせつ事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所千葉支部が解説します。
◇事件◇
会社員のAさんは、会社の同僚女性と交際しています。
先日、松戸市内の居酒屋で、この女性と飲酒していた際にいやらしい気分になったAさんは、お店の近くの路上で女性に口淫してもらいました。
その状況を偶然、パトロールしていた警察官に目撃されたAさんは、公然わいせつ罪の疑いで検挙されて、彼女と共に千葉県松戸警察署に任意同行されてしまいました。
逮捕されずに帰宅することが許されたAさんは、今後の手続きや処分が不安で、千葉県の刑事事件を扱っている弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所千葉支部に相談しました。
(フィクションです。)
◇公然わいせつ罪◇
公然とわいせつ行為をすれば、刑法第174条に規定されている「公然わいせつ罪」となります。
この法律は、社会的法益である性秩序を保護法益としており、被害者は存在しません。
この法律でいうところの「公然」とは、不特定多数の者が認識できる状態をいいますが、現実に不特定又は多数の者によって認識されたことまで必要とせず、その可能性があれば足りるとされています。
Aさんのように、路上でわいせつ行為及んだ場合、もし行為中に、その場に誰もいなかっとしても、いつ人が来るかもしれない場所であるので、このような場所でわいせつ行為に及べば不特定の人に認識し得る状態にあるといえるでしょう。
屋内の場合でも同様で、その場所が容易に外部から見えるような解放された場所であれば、公然性を有するものと判断されます。
また認識する者が、特定人だけであっても、多数いる場合には公然性が認められるので、その場に知人しかいなかったとしても、その数が多数であれば公然性を帯びることとなります。
ちなみに公然わいせつ罪でいうところの「多数」とは、おおむね5~6人以上と解されています。
~特定の少人数の場合は?~
特定の少人数の場合は、公然わいせつ罪でいうところの「公然性」は否定される傾向にありますが、特定の少人数に対する密室における行為であっても、一定の計画のもとに反復する意図で、その特定小人数が、不特定又は多数の中から観客として選択された者である場合は、公然性があると解されるので注意しなければなりません。
◇刑事手続きの流れ◇
Aさんのように、公然わいせつ罪で警察に検挙された場合の刑事手続きをみていきましょう。
まず警察署に任意同行された後に警察官の取り調べを受けることになります。
そこでは、事件に関すること以外にも、身上関係についても聞かれて書類を作成されます。
また警察官を犯行現場に案内したり、どのよう行為をしていたのかを再現させられることもあります。
このような警察官の取り調べは、検挙された当日も含めて2~3回ほど行われるのが通常ですが、場合によってはそれ以上の取り調べを受ける場合もあります。
こういった取調べ以外に、警察署では被疑者指紋を採取されたり、被疑者写真を撮影されます。
こういった手続きが終了すると、警察署で作成された書類は検察庁に送致されます。
よく新聞やニュース等で「書類送検」といわれているのが、この手続きです。
検察庁に送致されると、受付を経て事件を担当する検察官が決定します。
この担当検察官のもとに、警察署で作成された書類が渡ると、検察官は書類を確認して被疑者の取り調べを行います。(事件によっては、検察官の取り調べが行われないまま不起訴処分が決定する場合もあり、その場合は、何の連絡もないままに刑事手続きが終了している。)
よく「どれくらいで、検察官から呼び出しがあるのですか?」というご質問がありますが、検察庁に送致されて検察官からの呼び出しまでの期間は、早くて1週間~2週間、遅い場合ですと2、3カ月経って呼び出される場合もあります。
そして検察官の取り調べを終えると、検察官は起訴するか不起訴にするのか、若しくは略式罰金にするのかの処分を決定します。
公然わいせつ罪(法定刑は「6月以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料」)の初犯の場合ですと略式罰金となる可能性が非常に高く、その場合は、検察官から取調べの際にその旨を告げられます。