痴漢事件で接見

Aさんは、電車に乗っていた際、近くにいた制服姿のVさんに痴漢をしようと思い立ちました。
Aさんの痴漢行為は約5分程度であり、最初はお尻や太ももを撫でるというものでしたが、やがて下着に手を入れ直接陰部を触るものへ至りました。
それに耐えかねたVさんが声を上げたことで、Aさんは千葉県野田市所在の駅で降車させられ、事務室に連行されました。
その後、Aさんは強制わいせつ罪の疑いで逮捕され、野田警察署にて留置されることになりました。
逮捕の知らせを受けたAさんの母親は、弁護士に初回接見を依頼しました。
(フィクションです。)

【痴漢に成立する罪】

痴漢が犯罪に当たることは、今や周知の事実と言っても過言ではないかと思います。
実際に痴漢に及んだ場合、成立する可能性のある罪として以下の2つが挙げられます。

①迷惑防止条例違反の罪
第一に、他人の身体に触れる程度の痴漢について、各都道府県が定めている迷惑防止条例に違反する可能性があります。
千葉県においては、「千葉県公衆に著しく迷惑を掛ける暴力的不良行為等の禁止に関する条例」(千葉県迷惑防止条例)がその条例に該当します。

千葉県迷惑防止条例(一部抜粋)
第三条
2 何人も、女子に対し、公共の場所又は公共の乗物において、女子を著しくしゆう恥させ、又は女子に不安を覚えさせるような卑わいな言動をしてはならない。男子に対するこれらの行為も、同様とする。

性的な意図で他人の身体触った場合、上記条文の「卑わいな言動」に当たると考えられます。
罰則は、通常の場合6か月以下の懲役または50万円以下の罰金、常習の場合1年以下の懲役または100万円以下の罰金とされています。

②強制わいせつ罪
強制わいせつ罪は、暴行または脅迫を用いてわいせつな行為をした場合に成立する可能性のある罪です。
ただ、「暴行または脅迫」という要件が入っていますが、暴行についてはわいせつな行為と別個にされる必要はないと考えられています。
そのため、暴行等を用いずに痴漢をした場合であっても、行為の内容次第では強制わいせつ罪に当たる可能性があります。

【初回接見の重要性】

刑事事件において、逮捕・勾留中の被疑者や被告人との面会を「接見」と呼びます。
この接見は、弁護士が行うものと一般人が行うものとでは大きく異なり、前者を弁護士接見、後者を一般接見と言うことがあります。

弁護士(弁護人)という立場の重要性に鑑みて、弁護士が行う接見には以下のような特徴があります。

第一に、弁護士であれば基本的に日時や時間の長短を問わず接見することができます。
一般接見では、平日の朝から夕方までで1日1回、面会時間15分といった制約があります。
弁護士に関しては十分な弁護活動のために入念な準備が必要であることから、基本的に自由に接見を行うことが認められているのです。

第二に、弁護士は接見を禁止されることが基本的にありません。
一般接見の場合、逮捕から勾留までの間(2~3日)は原則として面会ができず、更に勾留後であっても接見禁止という決定がなされることがあります。
他方、こうした接見の禁止を弁護士に及ぼすのは防御権の侵害とされているため、よほどのことがない限り弁護士による接見が禁止されることはありません。

第三に、弁護士は立会人なくして接見することができます。
一般接見に際しては、必ず警察署の職員が立ち会わなければならず、会話についても内容次第では制止されます。
これに対し、弁護士との接見では秘密が保たれているので、どんな内容であっても心置きなく話すことができます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件に強い弁護士が、豊富な知識と経験に基づき充実した接見を行います。
ご家族などが痴漢事件で逮捕されたら、刑事事件・少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

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