公務執行妨害罪で略式罰金
Aさんは、千葉県銚子市内を歩いていたところ、他の者に職務質問をしている警察官Vさんの姿が目に入りました。
Aさんは日頃警察官をよく思っていなかったことから、職務質問中のVさんに向かって拳大の石を投げました。
石はVさんに当たりましたが、Vさんには特に怪我もなく、職務質問は引き続き行われました。
Aさんの行為は近くにいた別の警察官に目撃されており、Aさんは公務執行妨害罪の疑いで現行犯逮捕されました。
銚子警察署にてAさんと接見した弁護士は、処分の見通しとして略式罰金の説明をしました。
(フィクションです。)
【公務執行妨害罪について】
公務員が職務を執行するにあたり、その公務員に対して暴行または脅迫を加えた場合、公務執行妨害罪が成立する可能性があります。
暴行・脅迫と聞くと、殴る蹴る、あるいは「殺すぞ」などと脅すような程度の甚だしい行為を想像されるかもしれません。
ですが、公務執行妨害罪における暴行・脅迫は、それよりも広い範囲の行為が含まれる可能性があります。
公務執行妨害罪の保護の対象は公務の円滑な執行であり、それを害する危険性のある行為であれば罰するに値すると考えられるからです。
上記事例では、Aさんが投げた拳大の石がVさんにぶつかっているものの、Vさんに怪我もなければ、長時間職務質問が滞ったわけでもありません。
ですが、Aさんの行為には、警察官の円滑な公務が妨げられるおそれがあったと言えます。
そうすると、Aさんには公務執行妨害罪が成立すると考えられます。
公務執行妨害罪の法定刑は、①3年以下の懲役、②3年以下の禁錮、③50万円以下の罰金のいずれかです。
これと別個に暴行罪または脅迫罪が成立することは基本的にありませんが、傷害罪や殺人罪は別個に成立する可能性があります。
これらの罪は公務執行妨害罪に当然に伴うとは言えず、独立して違法性を認めるべきだからです。
もし公務執行妨害罪と併せて傷害罪などが成立すれば、当然ながら刑罰は重くなるでしょう。
【略式罰金とは何か】
公務執行妨害罪以外の罪が成立せず、なおかつ初犯のケースであれば、刑罰の内容としては比較的少額の罰金刑が見込まれます。
その場合、被疑者の同意のもと略式手続により罰金が科されることが多くあります。
以下では、この略式手続により科される罰金を略式罰金として制度の概要を説明します。
略式罰金は、100万円以下の罰金を科すのが相当な事案において、通常よりも簡略化した手続によりその罰金刑を科すものです。
罰金刑である以上、起訴されて有罪となることには変わりありませんが、通常の手続と異なり事件の審理が書面で行われます。
そのため、事件が法廷という公の場に出ない、裁判に伴う肉体的・精神的負担がない、といった特徴があります。
一方で、略式罰金により通常の裁判を受ける機会がなくなってしまうとなると不都合があります。
略式罰金は基本的に検察官が主張する事実関係などに沿って審理を行うため、それについて異議があれば通常の裁判で争うという選択も十分考えられます。
そこで、略式命令(判決に代わるもの)を受け取ってから14日以内であれば、通常の裁判を行ってもらうよう請求することができます。
略式罰金に応じるかどうかの判断は時として容易でないため、困ったら早めに弁護士に相談するとよいでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件に強い弁護士が、略式罰金の当否を含めて様々な事項を細かく検討いたします。
ご家族などが公務執行妨害罪の疑いで逮捕されたら、刑事事件・少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
初回法律相談:無料
銚子警察署までの初回接見費用:0120-631-881にお問い合わせください