窃盗の見張り役~犯罪の共犯とは~

今回は、窃盗犯の見張り役として加担した場合を例に、どのような行為が犯罪の共犯(共犯者)について、あいち刑事事件総合法律事務所千葉支部が解説します。

【事例】

千葉県銚子市に在住のAさん(20代男性)はあるとき、知人のBさん(20代男性)から「盗んだ金の半分を渡すから、銚子市内の店に盗みに入った際の見張り役をしてくれ」と頼まれました。
Aさんは、見張りをするだけでお金がもらえるのならと考え、見張り役を承諾し、その日の夜、Bさんが侵入した店の出入口付近で、通行人や警察官などに気付かれないかを見張っていました。
Aさんは、しばらくして、店の金庫から現金50万円を盗み終えて出てきたBさんと合流すると、店から離れたコンビニエンスストアの駐車場でBさんから現金25万円を受け取り、解散しました。


数日後、Bさんは窃盗罪の被疑者として、千葉県銚子警察署に逮捕されてしまいました。
その後の捜査から、Aさんの事件への関与も発覚し、Aさん自身も共犯者として窃盗罪で逮捕されることとなりました。

本件事例はフィクションです。

【解説】

今回の事例では、Bさんには、「お店の現金50万円を盗んだこと」による窃盗罪(刑法第235条)と、盗みをはたらくために店舗に侵入したこと、すなわち「正当な理由なく、他人の管理する店舗に侵入したこと」による建造物侵入罪(刑法第130条)が成立する可能性が高いといえます。
そして、店の出入口付近で見張り役をしていたAさんは、Bさんに成立する犯罪の共犯になると考えられます。
以下では、共犯の詳細について解説します。

1 共犯とは             

犯罪は、1人の行為によって実現されるとは限りません。
複数のものによって犯罪が行われるケースは少なくありません。
共犯」とは、広い意味では、2人以上で犯罪を行う場合を意味します。

また、一口に共犯といっても、共犯には、必要的共犯任意的共犯の2種類があります。
必要的共犯とは、犯罪の性質上、初めから2人以上の行為を予定して定めされている犯罪をいいます。

例えば、選挙や大規模イベント誘致などの際に話題となる賄賂罪ですが、これは送る側と受け取る側、すなわち贈賄罪と収賄罪が一対として成立するために必要であることから、必要的共犯の関係にあると考えられています。

一方で、任意的共犯とは、法律上単独の行為を予想して定められている犯罪を2人以上の行為者が協力して実現する犯罪をいいます。

必要的共犯と言われるケースの犯罪はあまり多くなく、一般的でないことから、今回は、任意的共犯に絞って共犯の解説をいたします。
以下、任意的共犯を共犯と記載

2 共犯の種類             

共犯には以下のような種類があります。

刑法第60条1項 共同正犯

2人以上共同して犯罪を実行した者は、すべて正犯とする。

正犯とは、「自ら犯罪を実行すること」を意味します)

刑法第61条 教唆

1項  人を教唆して犯罪を実行させた者には、正犯の刑を科する。
2項  教唆者を教唆した者についても、前項と同様とする。

教唆とは「唆す(そそのかす)」こと)

刑法第62条 幇助

1項  正犯を幇助した者は、従犯とする。
2項  従犯を教唆した者には、従犯の刑を科する。

幇助とは、正犯の犯罪を実行しやすいように手助けすること)

従犯とは・・・正犯の犯行を行いやすいように手助けをすること(幇助犯)を意味します。

(従犯は「犯行を実行しやすくなる」場合を指しますので、犯行後に凶器を預かったり、逃走の手伝いをする行為は該当しないとされます。ただし、犯行前に「犯行後の面倒を見てやる」などと声を掛けることは正犯を精神的に楽にする(=実行しやすくする)と解される場合があり、精神的幇助として問われる場合がります。)

共同正犯は「犯罪を一緒にやる

教唆犯は「犯罪をそそのかす

幇助犯は「他人の犯罪の手助けをするというようなイメージです。

今回の事例では、AさんはBさんから事前に犯罪行為であることを聞かされており、事件後にはBさんが盗んだ現金の半分を分け前として受け取り、現場へも帯同していることなどの犯罪に関与した度合いから、自身の犯罪として評価されればAさんは共同正犯になる可能性があります。

また、犯罪に関わった状況によっては共犯性を否定されたり、幇助犯となったりする可能性もあります。

そのため、ご自身の行った行為がどういった立場にあたるのか、取調べなどで曖昧な供述を避けるためにも、一度、弁護士に相談し、今後の対応について検討してみることが大切です。

【事務所紹介】

今回は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所千葉支部共犯について解説しました。
共犯にあたるかどうかには、具体的な状況を踏まえた上での高度な法律的専門知識を必要とします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所千葉支部は、刑事事件・少年事件を数多く扱う法律事務所です。

なんらかの事件を起こしてしまった方、警察から取調べを受けている、呼び出しを受けている方など、在宅で捜査が行われている方であれば、弊所へお越しいただいての初回無料相談をご利用いただけます。

また、既に逮捕されている方へは、お申込み後、最短当日中に弁護士が接見をして、今後の対応についてのアドバイスや状況を確認する初回接見サービス(有料)がございます。
千葉県内及び周辺に在住の方やそのご家族で、刑事事件の被疑者として捜査されているという方は、是非一度、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所千葉支部までご連絡ください。

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