暴行罪と勾留

暴行罪と勾留

Aさんは、千葉県夷隅郡大多喜町にてランニングをしていたところ、自転車を運転していたVさんとぶつかりそうになりました。
Aさんは「危ないだろ」と注意しましたが、Vさんは謝罪するどころか舌打ちをしてその場を去ろうとしました。
Vさんの態度に腹を立てたAさんは、Vさんの肩に手をかけて制止させ、胸倉を掴んで怒鳴りつけました。
その場を勝浦警察署の警察官が現認し、暴行罪の疑いでAさんを現行犯逮捕しました。
Aさんと接見した弁護士は、勾留の概要とその可能性について説明しました。
(フィクションです。)

【暴行罪について】

他人の身体に「暴行」を加えたものの、傷害には至らなかった場合、暴行罪が成立する可能性があります。
刑法上、「傷害」とは人の生理的機能の侵害と考えられており、怪我のほかにも人の心身の健康を害する行為が広く含まれる可能性があります。
ですので、暴行罪に当たるケースというのは、暴行こそあったもののそうした結果が生じなかった場合と言えます。
最初は暴行罪の疑いで捜査されていた事件が、後で傷害の結果が発覚することで傷害罪に切り替わることもあります。

暴行罪における「暴行」とは、不法な有形力・物理力の行使全般を指すとされています。
一般的に暴行と言うと殴る蹴るを想像しがちかと思いますが、そのほかにも幅広い行為が「暴行」に当たる可能性があるのです。
上記事例では、AさんがVさんの胸倉を掴んでいます。
こうした行為も、不法な有形力の行使として「暴行」に当たり、Aさんに暴行罪が成立する可能性はあります。
そして、この行為によりAさんが負傷すれば、当然ながらより重い傷害罪に問われるおそれもあります。

暴行罪の法定刑は、①2年以下の懲役、②30万円以下の罰金、③拘留(1日以上30日未満の拘置)、④科料(1000円以上1万円未満の金銭の徴収)のいずれかです。
これに対し、傷害罪の法定刑は、15年以下の懲役または50万円以下の罰金です。
両者の法定刑にはかなり違いがあると言え、実務上の取り扱いも様々な場面で違いが出てきます。

【勾留とは何か】

刑事事件における身柄拘束の発端は逮捕ですが、これに引き続いて勾留という手続がとられることがあります。
勾留とは、逮捕後に行われて逮捕より長い身体拘束であり、被疑者に対するものと被告人に対するものが存在します。
それぞれの時間制限は、逮捕が72時間、被疑者勾留が10日間(延長されれば一部事件を除き最長20日間)、被告人勾留が2か月(のちに1か月毎の更新あり)です。
行動の自由を奪われる被疑者・被告人の利益保護の観点から、このように段階を設けて必要に応じた身体拘束が行われる建前となっています。

被疑者の勾留をするためには、検察官が勾留請求をし、裁判官が勾留質問などを通じてその当否を決定するという手順を踏む必要があります。
ですが、これらの手続は淡々と行われるのが常であることから、あまりにもあっさり長期の身体拘束が決まってしまう印象を受けがちです。
勾留決定が行われると、期間制限以外にいくつか違いが生じてきます。
まず、殆どの警察署において逮捕中は許されない、弁護士以外の者との面会が可能となります。
日時、会話の内容、頻度などの制限があること、面会を禁止されることもあることなど注意すべき点はありますが、それでもやはり面会ができるというのは大きいです。
次に、国が弁護人を選任する被疑者国選が利用できるようになり、国選弁護人に弁護活動を行ってもらうことが可能となります。
私選の弁護士に依頼できるほど資力がなければ、このことも見逃すことができない点の一つと言えるでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件のプロである弁護士が、私選弁護人としていつでも手厚いサポートを提供します。
ご家族などが暴行罪の疑いで逮捕されたら、刑事事件・少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

初回法律相談:無料
勝浦警察署までの初回接見費用:0120-631-881にお問い合わせください

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